2009年06月04日

Whoに付随するWhenについて

なぜ今日、このテーマで書くかは後で書きます。
「Whoに付随するWhenについて」って何だよ?といわれれば、一番わかりやすい具体例で回答します。生年月日(date of birth)、あるいは誕生日(birthday)です。個人名に従属する固有の属性であり、詐称しない限りは、一生変化しません。
1つのポイントは、5W1Hといっても、フラットに、独立に存在するだけでなく、階層化された属性構造、知識構造の中にあって、時々上下関係が入れ替わったりする、ということであります。2009年4月1日入社、というイベントWhatを上位に設定すれば、その出来事に関わる様々な属性の中で、入社式の場所Where、その開催費用How Muchとならんで、いやずっと重要なのが、新入社員の名前Whoの集合です。
人間には無数の属性があり、それこそ、くだらないものをあげれば、左小指の第一関節と第二関節の間に生えている一番長い毛の長さ、なんていう数値属性(メタデータ)もあります。これよりも、はるかにマシな生物・医学的属性、社会的属性、その他、WHOに従属するメタデータは多数あるわけですね。
 
「Whoに付随するWhenについて」 の話題に戻ります。
生年月日以外にどんなものあるでしょうか?
結婚記念日。1度セットされれば、変化はしません。でも人によっては複数加わることもあるし、古い方は実質消去されたも同然の扱いになることもあるでしょう。現在の配偶者の誕生日、という属性を定義すれば、変化します。
体重、、毎日変化します。40歳過ぎて身長が2cm伸びた人もいるので、これも変化します。スキル的な属性、住所Whereなんかも変化します。
ころころ変わる属性、とくに、個人、法人の基本属性を常に新鮮な状態に更新し、管理することでビジネス価値を生んでいるL社もあり、メタデータ管理は価値の源泉となり得ます。
 
今日6月4日は、亡父の命日です。
12年前、徳島に単身赴任中のこと。父は、21世紀の日本のエネルギー政策を考える官民合作のシンポジウムのホスト役として、最後のお客様を送り出した直後、クモ膜下出血で、倒れました。打ち所が悪く、2度と意識を取り戻すことがありませんでした。
死に目に会えませんでした。始発の飛行機でかけつけた6月4日の朝には冷たくなっていました。実は3日の深夜にこときれていたにも関わらず、次男の私がその日に対面できたことにするため、数分間の裁量という範囲で、死亡診断書を書いた医師が日付を書き換えてくれました。
父は私を、文字通り目の中に入れても痛くないくらい可愛がってくれ、35年間、周囲に自慢し続けました。おかげで反抗期もなく、シニアな人々、先輩たちは、デフォルト、信頼できる人なのだ、という確信をもって私は成長することができました。これだけでも限りなく父に感謝しています。
葬儀の2週間後に、当時団長として運営していたアマチュアオーケストラの演奏会がありました。メインのプログラムは、ベートーベンの交響曲第3番『英雄』。
第一ホルンを吹きながら、第二楽章『葬送行進曲』では涙が止まらなくなりました。私の英雄だった父の思い出を振り切り、狩の楽しさを思い切り表現する第三楽章以下、なんとか乗り切れたのは団員仲間のおかげです。トリオのHigh Eb を決めて!お父さんのために頑張って!というオーラが、事情を知る全団員から伝わってきたのです。
一切の事情を知ってか知らずか、徳島のJ社の社長は、仕事に戻った私を2階級特進させました。それに応えるべく毎日17時間働いて必死に頑張り、世界初の単体サマライザ(文章要約ソフトウェア)製品を出し、それをきっかけにマイクロソフトの成毛社長(当時)が「使いたい」と申し出てくれて歴史的な握手の後、株価が17連続Stop高。社長の含み資産を1000億円増やして、なんとかお気持ちに応えることができました。
恒久的に変わらない Whoに付随するWhenで、生年月日と対となるのは、亡くなった日、そして命日です。
Where2.0の隆盛を横目に、Whenはいまいち地味ですが、いやいや何のその、Timeline、年表は、大きな付加価値を生む、応用可能性に満ちあふれています。メイドめーるの秘書機能を強化し、「週末の空き時間に入れておいて」とか、「Aさんからメールの返事が来たら翌日までにこれをやる、って予定に入れておいて」とか、スケジューラにリマインドさせるように登録できたらどんなに便利でしょう。そして、文章を解析する際にも登場人物が存命中の出来事かが問題解決の有用な手がかりになることがあり得ます。
もっと短い時間幅では、プロジェクトの準備期間、実施期間、終結・レビュー期間中の出来事だったのかどうかと、誰かを次の仕事にアサインできるか、などの旬な、鮮度の高い属性を管理するのに、Whenの値は必要不可欠なものとなります。人間と結びついたWhenの最たるものはマイ・カレンダー。自分がいつどこにいて何をしているのか、それを機械が常にフォローし続けてくれれば、生活は一段と便利になると思われます。
私が時々披露する失敗談をここで書きます。
2007年2月、シリコンバレー出張中、オフの日に、500m隣の会場で第一回YouTube Dayが開かれていることを知らずに特ダネを逃して地団駄踏んだ。帰国後に、自分のメールボックスにMLでのイベント案内を見つけ、ショックに追い打ちかけられた。
ここで得られた教訓は、自分の身体は1つしかない、ということです。実に当たり前。でも、その事実をITに応用しきっている人がどれだけいるでしょうか?
当時5W1H抽出エンジンのMextractrがあれば、自分の予定を、シンプルなエージェント・プログラムに見てもらい、その時間帯に30分以内に移動できる場所で関心ありそうなイベントで絞り込めたはずなのです。(2,3のWebAPIをマッシュアップするだけで実現できます)
そんなこんなで、Whoに付随するWhenを管理すると、ビジネスチャンスを逃さず、大いに付加価値をもたらす、ということは、ほぼ自明かと思います。
普段から考えていたことはありますが、父の命日に改めてその重要性を確認できました。またしても父に感謝です。
 
 
※すみません、禁を破って、公的媒体に、思いっきり私的なことを書いてしまいました。こんなことも、経営や研究開発のエネルギーになっている、ということで、ご容赦いただけたら幸いです。
 
 
 
 
 

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posted by メタデータ at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | semantic
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