少し間があきました。この間、バイラルマーケティングの原点を振り返って(2001年のセス・ゴーディンへのインタビュー記事を参照して)、ソーシャル活性化の秘密を探ろうとした原稿、そして、グリッドとクラウドの本質的な違いに気づいてまとめた原稿を下書き保存しつつ公開を見送りました。(2010.5.3自分のTwitterについての予言に気付き公開)
そこへ、知人が週刊アスキー4.28号の標記特集をみつけてくれました。これは素晴らしい。
インターネットの時代になってPC雑誌の老舗が続々と倒れる中、週刊アスキーは、独特のとんがった視点、何でもありっぽい雰囲気を演出しながら知性や感性に訴えるネタを出し続けて命脈を保っておられます。1999年に東京の青山で福岡編集長(当時)にお会いしてお話して以来、彼の存在が、独特の魅力の源泉だ、と確信していました。
当時、月刊アスキーといえば遠藤諭さん、週アスといえば福岡俊弘さん。お2人とも、表に顔を出す個性的な編集者の代表格として尊敬しておりました。現在も総編集長ということで、いつも期待して、特集を眺めておりました。特に、日本経済新聞社のTさんから、福岡さんが「次はセマンティックしかない」と最近発言された、と聴いていたので、今回の特集も「なるほど!」と感じた次第。
特集の内容は期待を上回るもので、「3.0」的なサービスを取り上げてくれています。次の「大予想」ごとに数本の先進サービスを紹介してくれています。
- 人やモノがつながる検索が流行! (昔のカレシがわかっちゃう!?)
- カメラで撮影した動画で検索! (テキスト入力はもう古い!!)
- ブックマークがウェブアプリで埋まる! (もうソフトはいらない!?)
- タイムマシーン地図が登場! (未来の地形がわかる!!)
- Twitterでは満足できない!! コメントも居場所もリアルタイムに共有する!
- ブラウザー戦争がさらに加速! (ブラウザーの可能性に感動!)
- すべての知識はウェブから学ぶ! (学校がなくなる!?)
- 未来はウェブが予測する! (2300年のブームは何?)
「 1.人やモノがつながる検索が流行!」 とは、すなわち、広い意味でのセマンティック・ウェブです:
- ウェブにちらばる情報が、より詳しく(自動的に)分類、タグ付けされてデータベース化される。
- 検索結果はテキストの羅列でなく項目の関連性がビジュアルに把握できるように進化
Spysee以外には、商品間の関連のネットワークを「見える化」した、Amaznodeが取り上げられています。
「2. カメラで撮影した動画で検索!」 まだ動画ファイル全体を検索条件にできるサービスはないようですが、10年近く前から、静止画間の類似検索は少しずつ実用化の努力がなされていました。
- 画像分類の半自動化
- 写真のタグ付けが進み、画像に移っているものが何か検索可能に!
- 写真データから3次元空間を割り出し異なる角度から移った被写体も認識できる?
具体的に紹介されている画像(による)検索サービスは、次の3つです。Zemantaで有名になった自動タグ付け機能などセマンティックサービスもあります。
以下、駆け足でご紹介。
予想の3では、デスクトップ・アプリとくらべて何ら遜色ないウェブアプリや、その究極形ともいえるブラウザ内のOS、ウェブOSが紹介されています。
予想の4は、既にあった過去地図、古地図、火星の地図などを紹介しつつ、3次元化、4次元化した地図サービス上で、さらに高度で面白いマッシュアップが出てくることを予想しています。GPSケータイやGPS内蔵デジカメの普及がさらにマッシュアップの流れを促進する、とも。
予想の5でも GPSケータイを活用。これによりアルタイムで5W1Hを共有し、コミュニケーションを促進する方向性を予想しています。手間をかけずに情報発信しつつ、プライバシーはだんだん失われていく方向ではないか、とのコメントもあります。
予想の6は、いまブラウザが面白い!ということで、Safari4のシアター風UIが代表で紹介されています。
予想の7は学習とナレッジマネジメントの話。eBook, Academic Earth, American History in Videoが紹介されています。
予想の8は、データの力に頼るだけでなく、その解析を推し進め、膨大な計算パワーを駆使したWebサービスの台頭を予想。その象徴として、大量データの集約と解析による未来予測の可能性に言及しています。紹介サービスは博報堂生活総合研究所の「未来年表」。このサービス自体は、政府機関やシンクタンクの調査レポートという、ヒトの頭で咀嚼、分析された2次情報をインプットとしているようですが、事業企画担当者などにとって便利なサービスになっているようです。
うーむ、、書き始めたときは、どれとどれが セマンティックサービスで、これはまた別のトレンド、という風に分けてご紹介しようかと思っていましたが、なかなか無理がありました。
集約や誘導、絞り込みの手がかりにもメタデータは必須だし、リッチなUIを伴う便利サービス(より早く、手間無く、わかりやすく)にしても、何かの自動解析エンジンをその場で動かすか、あるいは既に構造化しておいたデータベースを用いています。ほぼ全部がセマンティックサービスに該当する、と言っても言い過ぎではないかもしれません。(ブラウザはそれを支える表現力と高速性を提供しているということで)
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